2022年2月28日、日産自動車からキャラバンディーゼル車のマイナーチェンジが発表されました。発売は4月下旬が予定されており、価格帯は309万5000〜418万2200円。
キャラバンのガソリン車は2021年10月20日に既にマイナーチェンジされておりましたが、ディーゼル車はいつマイナーチェンジされるのか注目されていいました。
キャラバンディーゼル車のビッグマイナーチェンジで変更された点は以下の通りとなります。
- 新型エンジン搭載(4N16型・4気筒2439ccターボエンジン)
- 7速ATトランスミッション搭載(マニュアルモード付き7M-ATx)
- 安全装備の充実(セーフティ・サポートカーS・ワイド対象)
- エクステリアの変更(フロントグリル・バンパーの形状変更)
- インテリアの変更(新型ファインビジョンメーター・D型ステアリング・シート形状変更など)
- ボディーカラーの追加(ピュアホワイトパール/ミッドナイトブラック/ステルスグレー)
- 新グレードGRANDプレミアムGXの追加
- マニュアルトランスミッションの廃止
- ワイドボディの廃止
上記9つある変更点のうち、②~⑧はガソリン車のマイナーチェンジ時と同じですので、特に驚くこともありませんね。
⑨に関してはディーゼルのワイドボディ車が無くなったみたいですが、ガソリン車の2.5リッター(QR25DE)エンジン搭載車にはワイドボディの設定があるようですので、どうしてもワイドボディ車が欲しいユーザーはガソリンエンジン搭載車を選ぶことになります。
やはり今回のビッグマイナーチェンジで注目したいのは①の新搭載される4N16型ターボエンジンですよね。
厳しくなる排ガス規制を受け、新型エンジンが搭載されるのではないかと噂されていましたが、噂通り搭載エンジンの変更がありました。
4N16型エンジンの特長
新搭載の4N16型ターボエンジンは排ガス処理に尿素SCRシステムを採用し、平成30年排出ガス規制に適応。排気性能とCO2低減を図っています。
新搭載の7速ATとの組み合わせで、燃費性能は従来の12.4km/Lから13.9km/L(JC08モード)へと12%向上。最大トルクも従来型356Nmから370Nmに向上した事により、加速性能もパワーアップしました。
※燃費性能はディーゼルターボエンジン搭載車(バン 2WD 3/6人乗 ロングボディ 低床)での比較。
バランサーシャフトを新たに採用することで、エンジン振動を抑えてこもり音を減少。走行中の騒音を抑制することで、加速時の不快感や、車内での会話が妨げられる問題を大幅に改善。
YD25DDTiエンジンでは尿素水不要でしたが、ここにきてついにキャラバンのディーゼルエンジンも尿素水を使用することになりましたね。
尿素水のタンク容量は11.4L。尿素水「Ad Blue」を切らすと走行不能になってしまいますので、点検や補給は必須となります。
尿素水1L消費/1000kmの走行できるとの事なので、単純計算で満タンで11400km走行できることになります。
ホビーユースであれば年間走行距離で10000kmオーバーはなかなかいかないかもしれませんので、車検毎の点検補充でも良さそうですね。
ただ、ワークユースだと10000kmは簡単に突破しますので、尿素水を切らさないように注意しなければなりません。
おそらくメーター内に尿素水のモニターが装備されていて、尿素水がゼロにならないような警告機能があるのでしょう。
4N16エンジンとYD25DDTiエンジンの比較
今回のマイナーチェンジで新搭載された4N16ディーゼルエンジンと従来型NV350キャラバンに搭載されていたYD25DDTiディーゼルエンジンのスペック比較です。
項目 | 4N16 | YD25DDTi |
---|---|---|
シリンダー数 | DOHC・水冷直列4気筒 | DOHC・水冷直列4気筒 |
シリンダー内径×行程mm | 86.0×105 | 89.0×100.0 |
排気量L | 2.439 | 2.488 |
圧縮比 | 15.1 | 15 |
最高出力 kW(PS)/rpm | 97(132)/3250 | 95(129)/3200 |
最大トルク N・m(kgf・m)/rpm | 370(37.7)/2000 | 356(36.3)/1400-2000 |
燃料供給装置 | EDI(電子制御燃料噴射装置) | EDI(電子制御燃料噴射装置) |
使用燃料・タンク容量L | 軽油・65 | 軽油・65 |
尿素SCRシステム | あり・タンク容量11.4L | なし |
燃費性能km/L( JC08モード ) | 13.9 | 12.4 |
4N16エンジンと現行ハイエースのディーゼル1GD-FTVエンジン比較
今回マイナーチェンジされたキャラバンのディーゼルエンジンと現行のハイエースのディーゼルエンジン1GD-FTVエンジンのスペックを比較してみました。※2022年3月1日現在
項目 | 4N16(キャラバン) | 1GD-FTV |
---|---|---|
シリンダー数 | DOHC・水冷直列4気筒 | DOHC・水冷直列4気筒 |
シリンダー内径×行程mm | 86.0×105 | 92×103.6 |
排気量L | 2.439 | 2.754 |
圧縮比 | 15.1 | カタログ記載なし |
最高出力 kW(PS)/rpm | 97(132)/3250 | 111(151)/3600 |
最大トルク N・m(kgf・m)/rpm | 370(37.7)/2000 | 300(30.6)/1000-3400 |
燃料供給装置 | EDI(電子制御燃料噴射装置) | コモンレール式燃料噴射システム |
使用燃料・タンク容量L | 軽油・65 | 軽油・70 |
尿素SCRシステム | あり・タンク容量11.4L | あり・タンク容量7.4L |
尿素水消費量 km/L | 1000 | 1000 |
燃費性能km/L( JC08モード ) | 13.9 | 12.4 |
4N16エンジンは三菱製のエンジン?
今回キャラバンのディーゼルに搭載された4N16エンジンは日産ではあまり聞きなれないエンジン型式ですよね。
それもそのはず、4N1型系エンジンは三菱自動車で開発されたディーゼルエンジンなのです。
三菱の自動車に搭載されている4N1型系ディーゼルエンジンは4N13(1789cc)、4N14(2268cc)、4N15(2442cc)の3種類があります。
おそらく、今回キャラバンに搭載されたディーゼルエンジンはこの4N1型系統の改良進化版で、4N16型として登場したのではないでしょうか。
4N1型系エンジンのスペック比較
今回マイナーチェンジされたキャラバンディーゼルに搭載されている4N16エンジンと三菱の歴代4N1型系エンジンのスペックを比較してみました。
項目 | 4N13 | 4N14 | 4N15 | 4N16 |
---|---|---|---|---|
シリンダー数 | DOHC・水冷直列4気筒 | DOHC・水冷直列4気筒 | DOHC・水冷直列4気筒 | DOHC・水冷直列4気筒 |
シリンダー内径×行程mm | 83×83.1 | 86×97.6 | 86×105.1 | 86.0×105 |
排気量L | 1.798 | 2.268 | 2.442 | 2.439 |
圧縮比 | 14.9 | 14.9 | 15.5 | 15.1 |
最高出力 kW(PS)/rpm | 85(116)/4000 110(150)/4000 | 130(177)/3500 | 133(181)/3500 | 97(132)/3250 |
最大トルク N・m(kgf・m)/rpm | 300(31.0)/2000-3000 | 380(39.0)/2000 | 430(43.9)/2000 | 370(37.7)/2000 |
燃料供給装置 | ソレノイド式コモンレール | ピエゾ式コモンレール | ピエゾ式コモンレール | EDI(電子制御燃料噴射装置) |
搭載車 | 2010年から欧州向けのASX(日本名RVR)およびランサー(日本名ギャランフォルティス)。 | 2010年から欧州向けのアウトランダーに搭載。 2013年からデリカD5(4WD)に搭載。(最高出力109kW(148PS)/3,500rpm、最大トルク360N・m(36.7kgf・m)/1,500~2,750rpm) | 2014年度防衛省調達分から73式小型トラックに搭載。 2015年から東南アジア等向けパジェロスポーツ及び国外向けトライトンに搭載。 | 2022年からキャラバンに搭載。 |
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